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慶子は興味深そうに聞いた。
「清美の彼氏ってどんな人?」
清美は照れたように
「相当な変わり者かな。
だけど、日本だけじゃなく世界を見てる理想主義者。
私の世界観が、広がったよ。
私が、今までどれだけ狭い世の中ばかり見てきたのか想い知らされた。
器の違いを、見せつけられた感じかな。
でも私、亡き父の言葉を思い出したよ。
清美、世界を見ろ。世界を見れば、この国をどう変えればいいかがわかる。
世界なくして、日本はない。
日本が、世界の中で生きていくには日本は変わらなければならない。
そうなった時に、世界をどう見るかで答えはでる。
いいか。清美、忘れるな。
どんなに絶望的な状況に立たされたとしても、視野を広くもてば乗り越えられる、だから、常に柔軟な思考を持ち続けるんだ。
それが、未来を切り開く武器になる。
これが、望が私に話した最後の言葉。
望はその日の夜、殺された。
お父さんの死が、全てを狂わせた。
私を、狭い世界に留めてしまった。
やっぱり、家を出て正解だったよ。
どうしたってここに来ると、お父さんの仇を討ちたい気持ちで埋まってしまい憎しみしかなくなってしまう。
それが、よ
くわかったんだ。
だけど彼は、私から闇を取り払って私を何があろうと守るという強い意志をもって私に接してくれる。
そういう人だから、お祖父様は認めてくれると思う。
私自身の成長と、これから先の私の未来を」
間をおいて
「お母さん、私行くね」
知子は泣きながら
「清美、ごめんね。苦労ばかりかけて」
清美は笑顔で
「私は、お母さんのこと恨んだことなんて一度もないよ。
それに、お母さんは、二人の偉大な父親に会わせてくれた。
はっきり言って、あの二人を基準に人を見てるとつくづく、私って本当に凄い人の娘なんだっていうのがよくわかる。
お母さんは、そんな二人に愛されてるんだよ。
お母さんが、それだけ人を見る目があるって証拠だよ。
もちろん、その二人が惚れてるお母さんも凄いってことだよ。
自信持たないと」
清美は、知子を抱きしめた後、病室を出て行った。
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