第1章

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栗岡・石坂・細田、この三人が、手を組んだことを意味していた。 そして、これからの物語の中で重要人物になっていく田沢由紀子と桜井洋子は、東大経済学部に入り会計士の資格と経済産業省に入るのを目指していた。 日本及び世界に股がる企業をより成長させ、日本の経済を発展させるため二人は協力することにしたのだ。 もっとも、この二人の変わり者には婚約者がいた。 由紀子は、十年に渡って首相をやり官房長官を五年つとめた大物川崎幹雄、その息子も元首相、そして、その息子は世界に股がる大企業川崎コンツェルンの総帥だった。 そして、その息子である川崎弥太郎と由紀子は婚約が決まっていた。 もちろん田沢徹内閣官房副長官にとっても寝耳に水の話しだったのだが、突然倉橋久光から命令が下ったのだ。 川崎弥太郎は、運動神経抜群で、誰からも男女問わず慕われる人物で、頭脳明晰、由紀子とも相思相愛になっていた。 そして、桜井洋子は、経済産業大臣の息子との婚約が決まっていた。 彼は、東大三位で合格し、法学部に入り検察を目指していた。 同じく洋子と相思相愛だった。 そして、堺義弘あてに清美から驚くべきメールが届いた。 堺義弘は、複数の清美からのメールをパソコンでチェックし、まず、清美が誰に変装しているか・そして、進路と婚約した相手と性格、そして、清美が得た事実、そして、清美が考えてる芸術的な作戦が、詳細に書かれていた。 そして、その作戦の中に……となるようなところもあるのだが、最後の清美の一文に義弘は涙した。 お父さん、私はお父さんと協力してことを成したいとずっと考えてた。 だから、何としても下準備をしておきたかった。 だから、お父さんに何も連絡してる暇がなかったの。 でも、これからは私とお父さんで綿密に作戦を立てて実行していこうよ。 私もお父さんにメール必ず入れるから、お父さんもメール入れてね。 勝手なこと言ってるのは、よーくわかってるけど、私は理想のために走りたい。 清美 義弘は、承諾した。ただし、一つだけ聞いた。 それは、清美が本当にその男が好きなのかということだ。 清美は、即答してきた。 好きだよ。誰よりも。それに私を心から大切にしてくれる人だから。
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