第1章

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私は頷いた。ハンデありとはいえ、初めてお父さんの本気で戦えるのが嬉しかった。 二人の勝負が、始まった。 二人共に、実力伯仲の勝負になった。 三勝三敗で迎えた七戦目は、やはり父は勝たせてくれた。 義弘は、清美の元気な姿を見てホットした。 清美は退院する三日前に看護師が来た時、夜、ピアノの美しい音が聴こえるけどなんなのかということを聞いてみた。 すると看護師は、清美を車椅子に乗せて病院の廊下を歩いていくと広い庭があった。 そして、庭の前に特別病室があり、そこにピアノがあった。 看護師は 「この特別病室の方は、堺さんと同い年なのですが、あと三ヶ月の命と宣告された患者なんです。 ですが、彼はピアニストになりたかった。 病室に入った今も、奇跡が起こることを信じて夜、ピアノを弾き続けているんです。 彼は、川端コンツェルンの御曹司という立場ですから、生まれながらにして人生が決められているので、現実的には病気じゃなくても不可能なんですけどね。 でも、清美さんあなたがここに入院してる間、彼の話し相手になって下さい。 彼は喜びますよ」 看護師は笑顔で言うと川端達也に、清美を会わせた。 看護師は、達也に清美が銃で撃たれて記憶を失った堺清美であるということを紹介した。 達也は、あと三ヶ月には見えないくらい生き生きしていた。 達也は、笑顔で言った。 「堺清美さん、私の名前は川端達也、達也と呼んで下さい」 清美は、達也を見て綺麗な顔をしてると思った。 そして、凄い温かい人に見えた。 「堺清美です。よろしく」 と笑顔で言った。 そして、二人は握手した。 達也は、話すのが本当に好きな人だった。 達也は、一つ一つ病室を案内してくれた。 もちろん、皆、個室である。 まず、私のすぐ隣の部屋がサルコイドーシスの患者だった。 サルコイドーシスとは、身体の異常反応によって肉芽腫性病変が起こる病気だった。 ただし、何故こうなるのかわからない謎だらけの病気で治療方法は、ステロイド療法である。 60%が、自然寛解し、35%が慢性・5%が死にいたるという病気だった。
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