第1章

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神戸の古い屋敷に、高倉米蔵という、長年神戸を牛耳っている男がいた。 私を見ると一目で 「堺清美か……。田沼剛三から、話しは聞いてる。 お前には、変装して緒形泰三という男を始末してもらいたい」 緒形泰三とは、裏世界でも有名な男で、高倉米蔵が死んだら、次の神戸の支配者は、奴であるといわれるほどの実力者である。 神戸は昔から、聖域のような場所としても、有名だった。 だから、汚れた人間に神戸を任せるわけにはいかなかったのだ。 清美は、高倉米蔵の玄孫である和美に変装して、緒形泰三のいるホテルに向かった。 奴は、VIPルームにいた。 私が入ると、拳銃をその瞬間、抜いて撃たれた。 私は辛うじてかわして、拳銃を抜いた。 「小娘、貴様、何者だ?」 「私は高倉和美よ」 「高倉米蔵の玄孫か……。 何故、この場所がわかった?」 「ちょっと調べたら、すぐにわかったわ。 裏世界のことが、わかっていたら簡単よ」 緒形泰三は、苦々しそうに私を見ていた。 私は、その瞬間を逃さず撃った。 奴も辛うじてかわしたが、私の計算通りのところに逃げて私は、待ち構えてたが如く撃った。 今度はかわす暇もなく、心臓を直撃 した。 「緒形、あなたに聞きたいことがある。 ダニエル・カルロスは、どこにいるの?」 「ワシにはわからん。ダニエル・カルロスを買ってる寺島幸夫に聞くんだな」 そう言って舌をかんで死んだ。 だが、収穫はあった。 寺島幸夫元首相が、あの暗殺者ダニエル・カルロスを買ってる張本人だということ。 私は、こいつがポケットの中に入れていたUSBを持ち帰った。 高倉米蔵は、私の報告を聞いて、USBをくれた。 「清美、よくやってくれた。 神戸での裏世界での戦いは、これで終わったわけじゃないが、後は残る味方で何とかできる。 東京に戻っても頑張ってくれたまえ」 これから起こる、神戸での大きな戦いを、別の人間に任せて、私は田沼剛三のところに戻った。
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