第1章

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田沼剛三は笑みを浮かべて 「たいしたものだ。 あの緒形泰三を倒して帰ってくるとはな。 清美ちゃん、今の世の中は、闇そのものだ。 だが、君のような一筋の光りが、世の中をいずれ救うだろう。 闇を照らす、シルバーブレッドに君ならなれる。 頑張りなさい」 田沼剛三は、一人の人間として凄い男だった。 田沼剛三が、黒幕だと父は言っていたが、本当は、田沼剛三を後ろ楯にするために言ったんだと私は思っている。 私が学校に戻ると、雄介・洋子・幸子・田沼恵美・滝沢秀一・桐野姫子というそうそうたるメンバーが同じクラスになるという信じられないできごとが起こっていた。 優斗に田沢由紀子もいた。 田沢由紀子は、内閣官房副長官の娘である。 清美は、芝居を止めて普通の自分として動くことにした。 優斗と堂々と付き合うことにした。 そして、家では双子の赤ちゃんがお腹にいる母のために、料理と勇気と世話をした。 そんなある日、勇気が盲腸で病院に運ばれた。 腹膜炎を起こしていて重症だった。 だが、勇気の手術は無事成功して、ほっと一息ついたと思ったら、母の陣痛が始まった。 義弘も病院にやってきて 「ついに双子が生まれるか……」 と一言言った後、椅子に座り、生まれてくるのを待つ姿勢になった。 そして、ついに生まれた。 名前を 「まず、男の子の名前は、清司・女の子が明美、二人共、清美の名前から半分づつとったのよ。 ね?お姉ちゃん?」 清美は、生命の神秘を深く感じていた。 そして、高校二年の四月、高島栄一が、新しい首相になった。 高島栄一には、疲労の顔が見えていた。 巨大な裏世界の連中とも駆け引きしなければならないからだ。 だが、それでも一国の首相としての顔を見せていた。 まず、高島栄一がとりかかったのは、強姦罪が、懲役20年に一人でもすることだった。 あと殺人と強姦だけは、少年法から、大人と同じ罪になった。 少年法は十一歳まで繰り下げた。 もちろん、殺人と強姦限定で。
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