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父『入るぞ』
僕『(僕が部屋で黙々とゲームをしていた時、ノックもせずにそいつは入ってきた)』
僕『と、父さん……』
僕『(父は確か今日が退院日だったか。何の用で来たのかあまり想像したくなかった)』
父『……すまん』
僕『…………えっ』
僕『(何故か父は謝っていた。てっきり叱られるかと思っていたのに)』
父『すまん…………お前にあんなことさせて』
僕『な、なんだよ。なんで謝るんだよ。』
父『お前は、昔私の暴力を振るったことに根に持ってたんだろ?』
僕『……覚えていたのか』
父『あぁ』
僕『じゃあなんで謝っていたくれなかった!』
僕『(それだけが疑問だった。酷いことをしたのにすぐに謝らなかった。それを覚えていてしなかった。それがこの人を解らなくさせ怒りと恐怖の象徴に作り上げていたのに)』
父『機会が無かった……いや、謝る勇気が無かったんだ。隠れて泣いているお前を想像すると安易に近づく事が出来なかった』
僕『なんだよ……僕はただ、謝ってほしかっただけなのに……』
父『…………すまん』
僕『今更……遅い…………ッ』
僕『(僕から怒りが消えた。恐怖も消えた。後は、傷跡だけが残った)』
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