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第1章 父と子
「………。」
〝我としたことが寝てしまったか……
それは良いのだが……。〟
「うーん……。」
スヤスヤと横に眠る留奈を眺め、この先の展開に頭を抱えていた。
〝絶対勘違いされる!!
非常にまずいっ!!
いかにしてこれを乗り越えるか……〟
「我……殺されるな…」
必死に悩むも打開策などあるはずもなく、ただ覚悟を決めるだけの時間でしか無かった。
〝仕方あるまい……。
どんな誤解を受けようとも、我が批難されようとも耐えよう。〟
「おはよう。わた…るおにい…………ちゃん………?」
〝早速、来ただとぉ!?〟
まだ、言い訳も考えついていない。
焦る気持ちがより、怪しい雰囲気を醸し出す。
「まっ!まて!!
我は別にロリコンでは!!」
「はぁ…」
〝まずいまずいまずいまずいぃぃぃっ!
疑われているぞ!!〟
覚悟を決めたつもりでも、いざその場に立てば、また違う恐怖が襲ってくる。
魔王ゆえ、命を狙われる恐怖など、大したことはない。
返り討ちにしてやればよいこと。
だが、軽蔑されるという恐怖は、返り討ちになど出来ず、経験がない。
特に、恋愛や変態扱いなど、慣れている訳がない。
魔王とは、部下に絶対の服従をされるものだから。
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