第1章

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どうしたらこうゆう言葉が自然に出てくるんだろう。 100点なんて、いままで生きてきて一度も言われたことない。 緊張の糸が今頃切れた。 翔子さんに聞いてもらって安心したせいだろう。 ポロポロと涙がこぼれた。 あれだけ泣かないと決めたのに。 翔子さんが大事にしているはじめて行ったお店で、入って早々涙してしまい申し訳なかった。 幸い、他にお客さんはいなくて私たちだけだった。 女将さんが、私物のタオル地のハンカチをそっと手渡してくれた。 言葉はなくても、優しさと温もりを感じて嬉しかった。 混んでいるお店だと私が話しずらいだろうと思い、あえてこのお店を選んでくれたんだろうと今気付く。 きっと、自分が言って欲しかった、求めていた言葉を翔子さんが言ってくれたから、胸に響いたんだと思う。
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