王道転校生が来たので学校辞めたい

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千早先生の言葉に、教室が一気にザワつく。 『転校生だって!カッコイイかなぁ?』 『可愛い奴希望!』 『やだ、もっと気合い入れて来れば良かったー!』 ……もう何も突っ込むまい。 前の席の蓮が、焦ったように俺を振り返る。 「なあ、まさか転校生って…」 「あいつしかいねぇだろ」 「あーもう……フラグ建てた柳が悪いんだからなwww」 笑いながらも蓮の顔は硬い。王道転校生の事をよく知るこいつがこの反応ということは、やはり今回来た転校生というのはなかなかに厄介なのだろう。 「黙れ」 教室の煩さに顔を顰めた千早先生が、再度バンッと教卓を叩いた。一瞬にして静まり返る教室。 千早先生は全員が自分に注目しているのを確認すると、スゥッと目を細めて教室の扉に視線を向けた。 「狭山、入れ」 「俺の事は水瀬って呼べって言ってるだろ輝!」 大きな音を立てて扉が開く。 怒ったように入って来た生徒は、まあ予想はついていたがーーーーーーーまさしく先程校門で見たモジャモジャ転校生だった。
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