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「なんだ涙。そいつがお前の言ってたお気に入りか?」
からかうようにそう言ったのは、生徒会長である神崎真那(カンザキ マナ)だ。
副会長は会長から守るようにしてモジャモジャを抱きしめると、青色の瞳でキッと会長を睨みつけた。
「水瀬を手を出したら許しませんよ」
「誰が出すかそんなダサ眼鏡に。俺様だって相手は選ぶ。……ん?お前は………」
げ、会長と目が合ってしまった。
どうすればいいと助けを求めて蓮を見るも、奴はいつものように俺を犠牲に逃げ出したらしく、遠く離れた席から小さく俺にエールを送っている姿が見えた。あいつ後で殺す。
「はん、中々上玉もいるじゃねえか」
上玉て、何処の悪代官だお前は。
会長はニヤリと笑うと、モジャモジャと副会長の間をすり抜けて俺の前に立った。
「お前、名前は?」
「一年D組の夜霧柳です」
「ほう……噂の学年首席の外部生か。お前もこのマリモ頭に惚れてんのか?」
惚れるわけねぇだろこのアホ。頭沸いてんのか。
「惚れてませんよ」
「なら俺様に惚れているのか」
……会長の脳内はどうなってしまっているのだろうか。夢と希望しか詰まっていないんじゃないか?
しかしまずい。ここで惚れてないとか言って逆上されても困るし、何よりそんなこと言って会長のプライドを傷つけたら親衛隊にリンチされるに決まってる。
かと言って素直に「はい惚れてます」なんて言おうものなら、それこそ俺は正真正銘のホモになってしまう。
さて……どう返答する?
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