12. 帰還

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ーーー 俺は、俺でしかない、か。 ふと、思い出す。 ブッチが死に際に言っていた言葉。 『……タツヤはタツヤであって、他の何者でもない。俺が知っているタツヤは、最も信頼できるヤツだ』 神野達己と、神条達也。 どちらも本当の自分だ。 だが、今となってはどうでもいい。 信念を持って、やるべきことをする。 そして、心から信頼し合える仲間がいる。 生きて行くのに、それ以上のものは必要じゃない。 自分が自分らしく光り輝ける場所で、俺は生きたい。 俺は、帰って来たのだ。 在るべき場所へと。 「ただいま、みんな……」 思わず胸が詰まり、自然と声が漏れた。 「……あの、取り込み中悪いんだけど、ひとつだけ報告してもいいかな?」 場の雰囲気にひとり馴染めていないカズが、少し困った顔で俺たちに声を掛ける。 「『神野達己』の脳データだけど、バックアップを誤って消しちゃったよ。だから、もう戻せないけどいいかな」 「いいに決まってんだろ!」 高村が怒鳴りつけた。
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