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ブッチはにやりと笑うと、達也の顔をじっと見つめた。
「タツヤ、おまえはいいやつだ。だから教えてやる。俺は自分の組織を持っている。再生処置の実態を調べるうちに、あるとんでもない事実を知ってしまった。それを世間に公開するために組織で情報を集めているんだ。部下の裏切りに乗じて、訓練所にあえて潜入したのもそのためさ」
「とんでもない事実ってなんだ?」
「教えたいが、それを話すとタツヤが如月に拷問される。如月が知りたいのはそれだけじゃない。俺の組織の居場所だ。あいつはそこをつぶそうとしている」
ブッチの組織は何か重大な事実を公表しようとしている。非労働者再生法そのものを揺るがすような。
それは如月が目指すものと同じではないのだろうか。
「如月はなぜ、ブッチの組織をつぶす必要がある?」
「……それは俺にもわからん。あくまで推測なんだが、RATSには大きなスポンサーがついている。事実を公開されると都合が悪い事があるのかもしれん」
これだけの規模の集団を維持し、高村が言っていたように高性能な武器も揃っている。
確かに、その資金の出所は謎だった。
労働者再生機構は潰したいが、再生処置の何らかの秘密は公開されると困るスポンサー。どんな組織で目的が何なのか全く見当がつかない。
「さて、頭のいい俺が、ここの脱出法を考えたんだが……」
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