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ーーー 俺は、俺でしかない、か。
ふと、思い出す。
ブッチが死に際に言っていた言葉。
『……タツヤはタツヤであって、他の何者でもない。俺が知っているタツヤは、最も信頼できるヤツだ』
神野達己と、神条達也。
どちらも本当の自分だ。
だが、今となってはどうでもいい。
信念を持って、やるべきことをする。
そして、心から信頼し合える仲間がいる。
生きて行くのに、それ以上のものは必要じゃない。
自分が自分らしく光り輝ける場所で、俺は生きたい。
俺は、帰って来たのだ。
在るべき場所へと。
「ただいま、みんな……」
思わず胸が詰まり、自然と声が漏れた。
「……あの、取り込み中悪いんだけど、ひとつだけ報告してもいいかな?」
場の雰囲気にひとり馴染めていないカズが、少し困った顔で俺たちに声を掛ける。
「『神野達己』の脳データだけど、バックアップを誤って消しちゃったよ。だから、もう戻せないけどいいかな」
「いいに決まってんだろ!」
高村が怒鳴りつけた。
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