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鏡に映った自分の姿を見て、達也は改めて唖然とした。
頑丈な編み上げのブーツはこの季節、足が酷く蒸れそうだ。
生地が厚く丈夫な素材のジャケット、パンツの上には、胸部から背中、肩、肘、膝をガードするアーマープロテクターを装着。
そして頭をすっぽりと覆う軍用ヘルメット。
全てが黒一色である。
まさに闇夜のカラスそのものだ。
腰のホルスターからオートマッチックハンドガン、SIG SAUERを抜き取り、しげしげと眺めた。
各国の軍や警察で昔から広く使用されている、ポピュラーなハンドガンだ。
労働局では小型のリボルバーだったが、これは如何にも相手を確実に倒す目的に満ちた、重厚な雰囲気を醸し出していた。
俺は何をしてるのだろう……
1年前、涼しい六本木のオフィスで、アルマーニのスーツ姿で仕事をしていた時と比べて、銃を握りしめた重装備のこの姿はあまりにも変わり過ぎだった。
待機部屋で、長内率いる第8搬送隊、総勢8名の隊員に挨拶すると、大きな拍手が沸き起こり、皆口々に「頑張れよ」「気を抜くな」「このイケメンが」などと言いながら達也の肩を叩き、歓迎した。
労働局と違い、皆、エネルギッシュで明るかった。
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