8. 管理区域

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ちょうど2時に、計53名の再生対象者を搬送する第2班の隊列は出発した。 達也は先頭のランクルの後部座席に乗った。 助手席には隊長の長内、ドライバーはスキンヘッドの高村律男(たかむら りつお)という40才台の男が担当する。 高村は190cm近い巨漢で、身体を窮屈そうにドライバーシートに収めていた。 他2台のランクルには隊員が2人ずつ、トランスポーターと呼ばれるマイクロバス2台にはドライバーの隊員が1人ずつという布陣である。 隊列は一定の間隔を保ちながら、深夜で空いている都内の道路を疾走する。 自動運転ではなく手動だ。長内によれば、カーナビに目的地を設定する事は禁止されているらしい。 「再生施設の場所はトップシークレットなんでね。仮に車を奪われて誰かに場所を知られたらまずいだろ?」 「車を奪われるって、どういうケースなんですか?」 「それ以前に、そもそも何でこんな重装備なのかってことを知りたそうだが」 達也の心を見透したかのように、さぐりを入れて来る。 「はい……それは訓練所にいた頃からの疑問です。何の為に銃や格闘の訓練を受けていたのか、未だにわかっていません」 「それは、まさしく今日の為にだよ」 長内が茶目っ気たっぷりにかわすと、高村が大声で笑った。
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