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ちょうど2時に、計53名の再生対象者を搬送する第2班の隊列は出発した。
達也は先頭のランクルの後部座席に乗った。
助手席には隊長の長内、ドライバーはスキンヘッドの高村律男(たかむら りつお)という40才台の男が担当する。
高村は190cm近い巨漢で、身体を窮屈そうにドライバーシートに収めていた。
他2台のランクルには隊員が2人ずつ、トランスポーターと呼ばれるマイクロバス2台にはドライバーの隊員が1人ずつという布陣である。
隊列は一定の間隔を保ちながら、深夜で空いている都内の道路を疾走する。
自動運転ではなく手動だ。長内によれば、カーナビに目的地を設定する事は禁止されているらしい。
「再生施設の場所はトップシークレットなんでね。仮に車を奪われて誰かに場所を知られたらまずいだろ?」
「車を奪われるって、どういうケースなんですか?」
「それ以前に、そもそも何でこんな重装備なのかってことを知りたそうだが」
達也の心を見透したかのように、さぐりを入れて来る。
「はい……それは訓練所にいた頃からの疑問です。何の為に銃や格闘の訓練を受けていたのか、未だにわかっていません」
「それは、まさしく今日の為にだよ」
長内が茶目っ気たっぷりにかわすと、高村が大声で笑った。
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