8. 管理区域

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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 2022年に非労働者再生法が施行された当初は、一般の病院を間借りして再生対象者に再生処置を実施していた。 だが、人が多く集まる病院では再生者が特定されやすいため、リセットして新しい人生を始めるには問題の多い環境だった。 マスコミは再生者に群がり、まるで犯罪者のように個人情報が次々と公開されていった。 リセットされた脳を掻き乱され、自殺する再生者も多く出た。 そのため、1年後、全国5箇所、非公開の国有地に再生施設が建設された。 再生対象者の情報は完全に隠蔽され、秘密裏に再生施設に送られ処置を受けることとなった。 再生処置に関しては、人権団体を始めいくつかの組織が反対を続けていた。 反対勢力は分裂と結合を繰り返し、徐々に規模を縮小させながらも、やがてひとつの組織に集約されていく。 最初は些細な小競り合いだったが、次第に過激化し、再生対象者を乗せたバスを襲って、勝手に人々を解放する行動にまで及ぶようになった。 そして、2024年2月。その事件は起きた。
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