8. 管理区域

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バスを襲撃した組織の一人が、興奮して隠し持っていた銃で発砲したのをきっかけに、護衛する警察と組織の間で激しい銃撃戦となった。 その場にいた組織メンバー全員が射殺され、警察官や再生対象者にも多くの死傷者が出た。 警察はマスコミから酷く叩かれ、搬送護衛から手を引く事となる。 代わりに労働者再生機構内に創設され、護衛業務を引き継いだのが保安局だ。 自分の身は自分で守れと、軍隊並みの装備を所有することに対して、行政側から非公式に許可が降りたのだ。 一方、組織は警察や保安局の力で、その殆どが一斉摘発され、残された一部の精鋭部隊だけが地下に潜ることとなる。 彼らは武力を一層強め、今でも各地に分散して襲撃を続けている。 衝突の度に多数の犠牲者が出るが、決して公表されることはない。 世間に知られて、再生処置自体が再び叩かれる火種とならないよう、組織との攻防は秘密裏に継続している。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 「RATSって言うんだ。奴らの組織名」 長い説明を終えた長内が、最後に敵の名前を明かす。 いつしか車は、関越道路を北へと向かっていた。
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