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「RATS……、確保したシッタイからその名前を聞いた事があります」
「そうか。奴らは決して自分の存在を表に出さないし、こちらも情報を隠蔽してきたのだが、最近徐々にネットで噂になり始めているようだ。存在が公になる前に、壊滅するしかない。近々保安局の別の部隊が本格的な掃討作戦に出ると聞いている」
「全くその名の通り、どぶねずみみたいな奴らだ」
運転していた高村が、吐き捨てるように言う。
「どこからともなく、わらわら湧いて出て来るし、なぜか武器も俺たちより高性能なものを持ってやがる。こっちはちんけなピストルだけだってのに」
「搬送に重火器の所持はまだ認められていないのさ。俺たちは、あくまでも非公式の武装部隊だからな」
高村はわざとらしく大きな声で、ため息をつく。
達也はブッチの事が気になった。
「真淵って隊員をご存知ですか。訓練所39期生で今年の春に保安局に配属された者です」
高村が自分の頭をトントンと叩く。
「真淵、真淵……。隊長、ほら例の第3搬送部隊にいませんでしたっけ?」
「知り合いなのか?」
長内が顔を曇らせる。
「第3搬送部隊は先月、搬送中にRATSに襲撃され全滅した。生存者はいないと聞いている」
「そんな……」
「残念だが、そういう危険を常に抱えているのが俺たちの仕事なんだ」
達也はショックで頭が真っ白になった。
ブッチが死んだなんて。
『俺は頭がいいからな』
彼の得意げな笑顔が脳裏に蘇る。
「……若しくは、RATSの捕虜になっている可能性もある。これは噂だが、奴らは捕まえた隊員や再生対象者の一部を自分のところの兵隊にしているらしい」
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