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ゲートをくぐるとすぐに山道に入った。
急坂の細いうね道が続く。
だが高村はスピードを落とす事無く、タイヤを鳴らしながら左右へ素早くハンドルを切る。
「この山全体が国の管理区域なんだ。一般人は立ち入りを禁じられている。だが、RATSはここを根城にしてるんだ」
改めて達也は緊張感に包まれた。
いつ襲われるかわからない恐怖が、動悸を早める。
と、前方を黒い影がすばやく横切った。
達也はとっさに銃を抜いたが、車はそのまま通り過ぎる。
「あれはタヌキだ。まあ、落ち着け」
長内が達也に向き直り、肩を叩く。
「おいおい、俺の頭をぶち抜かないでくれよ?」
高村がボヤいた。
やがて空が白々と明け始め、辺りの風景もうっすらと見えてきた。
道路の両脇は鬱蒼とした森が広がっている。
延々と伸びる道路は登り下りを繰り返しながら、ひたすら山の奥の方へと続いて行く。
ゲートを通過してから優に1時間は経過している。
こんな広大な敷地一帯が国の管理区域であることに達也は驚いた。
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