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「ねえ、この問題、教えてくれない?」
休み時間、安達さんがいきなり私の前に立って言った。
ドキッとした。今まさに、早く放課後にならないかな~なんて考えていたから。
「えっ?」
「次当たるんだ。お願いっ」
安達さんは両手を合わせて、片目をつぶって言う。なんとも女の子らしい仕草だった。私には絶対できない。
「う、うん……」
なんで私に?という気持ちを抑えて、丁寧に説明しながら数学の問題を解いた。
「ありがとう!説明上手だね。すっごくわかりやすかった!」
「そ、そうかな……?」
「実はね、ずっとあなたと話してみたかったんだ。なんだか私たち、気が合いそうだと思わない?」
思いません。残念ながら。まったく。
そんなことは口が裂けても言えないので、「そうだね」と適当に笑っておいた。
バカみたい。秘密を握られてるとも知らないで、ヘラヘラしちゃって。
私が写真でも撮ってバラしたら、あんたのアイドル的地位なんて一瞬で崩れ去るんだから。
ま、そんなことしないけどね。今のところは。
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