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あれ以来、私は双眼鏡を封印し、覗きをピッタリやめた。
何事もなく高校を卒業し、安達さんと顔を合わせることはなくなった。
なのに……今でもふとした瞬間に、なぜか、あのときの彼女の笑った顔が浮かぶことがある。
「ーーやめて!」
私は、顔を近づけてきた彼氏の身体を思いきり突き飛ばした。
後ろの壁に激突し、頭を強打した彼は、
「いってえな……何すんだよ!」
と怒鳴り、怒って帰ってしまった。
彼は、三度目の彼氏。今までの二人の彼氏にも同じことをして、同じ理由で振られた。
ああ、またやっちゃった……。
ここは私の部屋。窓も扉も閉まっているし、壁に穴でも空いてない限り、覗かれるなんてことは絶対にない。
なのに、どこからか、視線を感じるのだ。
そう感じた途端、何もできなくなる。
好きな人でさえ、拒絶してしまう。
ほら、今も……
あの子の視線から、私は逃れられないでいる。
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