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他に好きな人ができたとか、
それくらいにしてくれれば
よかったのに。
あのクソやろう──
もとい韮沢は、
社長のお嬢さんと
やっていけそうになかったら、
黙って私の恋人を
続けるつもりだったらしい。
性格も何もかも合ってて──
私には悪いけど、
ってことらしい。
そんなことを
あっけらかんと語られて、
どんな責め言葉が浮かぶっていうの。
全然意味が判らないんだけど。
私のこと好きだから
嘘はつけなかったって、
どういう理屈よ。
好きだからこそ
嘘をつけよ、そこは。
ていうか消えたい。
死にたい。
ああ、でも仕事がある。
終業前に化粧室に駆け込み
一面鏡を覗くと、
そこにいる自分は
とてもひどい顔をしていた。
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