スタイリッシュ粉砕

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  「……配達?」 訊くと、天川さんは あどけない笑顔ではいと頷いた。 清潔感でいっぱいの ギャルソン服が眩しい。 天川さんはいつも 上から下までぴかぴかで、 飲食業の鑑だと思う。 「今日は雨が降り出したので、 ホットコーヒーのオーダーがたくさん」 「そっか……」 ふふ、と意味のない 愛想笑いしかできない 自分が恨めしい。 案の定、 天川さんは私を見ながら 首を傾げた。 「すみれさん、どうかしました? 顔色、悪いですよ」 「ううん、なんでも……」 なんでもない、と いつものしっかり者の OLをやろうと頑張ったのに、 何度も何度も吐いたせいか、 今頃眩暈がしてきた。 .
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