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ガシャンと大きな音が響く。
はたと気付くと、
天川さんに肩を支えられていた。
音は、天川さんが
トレイをつるつるの床に
放り出した音だったらしい。
「わ、ご、ごめんなさ……」
「いえ、大丈夫です。
医療ブースに行きますか?」
「……具合が悪いわけじゃ……」
「でも、気分悪そうですよ」
力の入らない手で
天川さんを押し返そうとしたけど、
逆に彼の手に力がこもった。
シャツ越しの手なのに、
それでも判る。
韮沢とは違う男の人の手だ、って。
その区別をとっさに
つけてしまった自分に
自分で傷付いて、
思わず天川さんの顔を
見上げた。
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