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襟首を掴んで
引っ張られたみたい、と
思いながら慌てて見つめ返すと、
彼は少女のように
頬をぽっと赤く染めた。
「だから、
相性そんな悪くなくてさ……
これはもう乗るしかないなと」
「相性?」
とっ散らかった私の脳内に、
暗雲が立ち込める。
人間、
どうしてこういう時だけ
やたらと勘が働くのだろう。
「判るだろ、やってみた」
「……」
にへら、と
やらしく笑う目の前の男が
ウチュージンに見えてきた。
え。何この男。
こんなやつだったっけ。
「韮沢」
「うん」
「私と韮沢は、何だったかな」
「恋人だけど」
「え?」
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