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織部先生の身体に
纏わり付いている空気が、
怒りの色をして
生き物のように
あたしの方に
伸びて来るのが判った。
「連絡もしないでごめんなさい、
でもあたし……」
「降りて」
とにかく謝り倒さなければと、
とっさに出た言葉は
空気に飲み込まれ、
織部先生に言われるままに
従うしかないと気付く。
仕方なく車から降りて
織部先生の次の言葉を
待っていると、
彼はやはり和服をものともせず
つかつかと歩いて来て、
あたしの腕を掴んだ。
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