第1章

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「此処が会場でーす♪」 ゲルプが明るく言い放つ。 「随分遅かったですね」 先に居たクヴェレが苦笑交じりに言う。 「あぁ、ブラウの奴が駄々こねやがって……あ、いや、捏ねてまして…」 「良いですよ、ヴィオレット。何時も通りで。…そっちの方が、貴方らしいから」 「…そ、そうか?なら、いーんだけどよ…」 クヴェレは柔らかい感じでヴィオレットに言う。 クヴェレとヴィオレットはあれ以来普通の恋人になっていた。 上官と部下、という関係もそのままだが、それ以上の関係なのだ。 更にクヴェレはあの戦いで足を悪くし、車いすの生活を余儀なくされ、ヴィオレットが面倒を見ていた。 「…ところで、パーティーって云う割には、何だか人が少ないな」 ブラウが辺りを見渡して言う。 「良いところに目をつけたね、ブラウ!では、此処でスペシャルゲストの登場でーす☆」 そんなブラウをゲルプは見逃さなかった。 張り切って元気よく声を上げた。 「スペシャルゲスト?」 きょとん、とした声をあげるブラウ。 すると奥にあったカーテンが開く。 「…ブラウ、久し振り。元気だった?」 「え…?つ、椿ちゃん!!?」 ブラウがカーテンへ目を向けると、椿を含む救世主達五人が立っており。 「実は私達、元の世界へ帰る前に、ある薬を飲んだんです。ロートさんが調合してくれた薬を。効果は、時空転移です。ただ、時空転移が出来る様になるまで、一ヶ月かかっちゃって…。でも、是からは、何時でも私達は此処へ来る事が出来るんです」 由佳里が説明をする。 「ブラウと最後に話した時には、もう薬を飲んだ後で…効果も知ってたんだけど、ロートさんが、折角だから驚かせた方がいい、って云ってたから、ブラウには云わなかったんだ」 椿が苦笑交じりに言った。
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