第1章

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「え、いや、是ってマジ?夢じゃなくて?って、夢な訳ないか、俺さっきまで雑務してたし……いや、でも…??」 「偉大なる錬金術師・ロート様を敬いなさい?こーんな良い薬を調合してあげたんだから」 「ロートさん、駄目ですよ、邪魔しちゃ」 桜が苦笑交じりに自信満々のロートに言う。 「はいはーい。判ってるわよ」 ロートは軽い口調で言った。 「…夢…じゃないよね?本当に」 「当たり前じゃない。…一ヶ月、長かった……ブラウに、早く逢いたかった」 「……椿ちゃん………俺も、逢いたかった……」 椿とブラウはお互いに見つめ合いながら照れ合いながら話をする。 「…これから、逢いたくなったら直ぐ来るから。あ、それから…ロートさん達が、もう一つ薬を調合してくれるらしいの」 想い出したかのように椿が言う。 「もう一つ?」 「テレパシーが出来る様になる薬みたい。…だから、ブラウも、逢いたくなったら…呼んで?直ぐに逢いに来るから」 「…あいつ、そんな薬まで……そっか…こりゃ、マジでロートを敬わなきゃいけないかもな」 「本当だよね」 二人は冗談ぽく笑い合いながら話を進めていた。 「元気そうだね」 「あぁ、お前等も…マジ元気そーで良かったぜ」 「クヴェレさんも…お元気そうで、何よりです」 「えぇ…あの時はお騒がせしてすみませんでした」 海と波に謝罪をするクヴェレ。 しかし海は―― 「過去の話なんて、どうでもいいよ。今が平穏ならね」 と、何処か優しい口調で言った。 「…絶対厭味でも云うと思ったのに…海、お前…何か変わったな」 「そうなんです。海ってば、あれから随分変わって…昔みたく、優しくなってきたんです」 波は嬉しそうに言う。 昔みたいに、海が優しくなってくれて良かった、と。 「へぇ……良かったな、波!」 次の瞬間、ヴィオレットは波に抱きついた。 「きゃっ…!?」 「…この…変態!波からさっさと離れろ!!」 波からヴィオレットを引き剥がし、蹴り飛ばす海。 「いってぇ…!…そーいう所は変わってねぇのかよ」 「…ヴィオレット」 何処か怒った様子でクヴェレがヴィオレットを呼ぶ。 「あ、いや…わ、悪かった、クヴェレ!」 「…二人、うまく云ってるみたいだね」 「あいつの手の速さは変わってなかったけどね。…まぁ、平穏そうで何よりだけど」 波が微笑んで告げると、海が少しだけ嫌味を言った後、小さく笑って見せた。
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