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「え、いや、是ってマジ?夢じゃなくて?って、夢な訳ないか、俺さっきまで雑務してたし……いや、でも…??」
「偉大なる錬金術師・ロート様を敬いなさい?こーんな良い薬を調合してあげたんだから」
「ロートさん、駄目ですよ、邪魔しちゃ」
桜が苦笑交じりに自信満々のロートに言う。
「はいはーい。判ってるわよ」
ロートは軽い口調で言った。
「…夢…じゃないよね?本当に」
「当たり前じゃない。…一ヶ月、長かった……ブラウに、早く逢いたかった」
「……椿ちゃん………俺も、逢いたかった……」
椿とブラウはお互いに見つめ合いながら照れ合いながら話をする。
「…これから、逢いたくなったら直ぐ来るから。あ、それから…ロートさん達が、もう一つ薬を調合してくれるらしいの」
想い出したかのように椿が言う。
「もう一つ?」
「テレパシーが出来る様になる薬みたい。…だから、ブラウも、逢いたくなったら…呼んで?直ぐに逢いに来るから」
「…あいつ、そんな薬まで……そっか…こりゃ、マジでロートを敬わなきゃいけないかもな」
「本当だよね」
二人は冗談ぽく笑い合いながら話を進めていた。
「元気そうだね」
「あぁ、お前等も…マジ元気そーで良かったぜ」
「クヴェレさんも…お元気そうで、何よりです」
「えぇ…あの時はお騒がせしてすみませんでした」
海と波に謝罪をするクヴェレ。
しかし海は――
「過去の話なんて、どうでもいいよ。今が平穏ならね」
と、何処か優しい口調で言った。
「…絶対厭味でも云うと思ったのに…海、お前…何か変わったな」
「そうなんです。海ってば、あれから随分変わって…昔みたく、優しくなってきたんです」
波は嬉しそうに言う。
昔みたいに、海が優しくなってくれて良かった、と。
「へぇ……良かったな、波!」
次の瞬間、ヴィオレットは波に抱きついた。
「きゃっ…!?」
「…この…変態!波からさっさと離れろ!!」
波からヴィオレットを引き剥がし、蹴り飛ばす海。
「いってぇ…!…そーいう所は変わってねぇのかよ」
「…ヴィオレット」
何処か怒った様子でクヴェレがヴィオレットを呼ぶ。
「あ、いや…わ、悪かった、クヴェレ!」
「…二人、うまく云ってるみたいだね」
「あいつの手の速さは変わってなかったけどね。…まぁ、平穏そうで何よりだけど」
波が微笑んで告げると、海が少しだけ嫌味を言った後、小さく笑って見せた。
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