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私の知らない遠い場所で、誰かが言う。
「光の姫君がやっと舞ったみたい♪」
そして、花弁をまき散らしながら、
「今度はアタシの番だよ」
と、言いながら駆けだした。
その踊りは、私のものとは違うかわいいダンスのような舞で。
その周りを、花吹雪が舞っている。
その花びらには、魔法陣が描かれており、ダンスのような舞で描かれた魔法陣と共鳴していた。
そして、また、別の場所でも、誰かが言う。
「長かったな…」
「ええ、待ち疲れましたわ」
「だが、ようやく終わる」
「参りましょう」
そんな短い会話を交わして、紫の髪がひらりと靡く。
対なる踊り。
それは、神に捧げる、伝統ある舞。
民族衣装に身を包んだ対なる二人は、神に赦しを請い、地上への恵みを乞う。
その動きから、一対の魔法陣が生まれ、そして、全ての魔法陣が完成した。
遠く離れた地から、魔法陣の力を感じた私は、その光景が視えた。
やっぱり、私が動かなければいけなかったんだと思う。
(ごめんなさい)
私は心からそう思う。
もっと早くに待っていれば、こんなことにはならなかったのに。
後悔が私の心を蝕んだとき、私の意識は、何かに持ち上げられるように、身体から離れた気がした。
不思議と、それが痛いとか、不愉快だとか、思わない。
どちらかというと、気持ちいいというか、心地いいというか、それに近い何かから解放されたような気分になっていたから。
そして、そのまま、私の世界は、闇へと包まれた。
それもまた、私にとって、不愉快ではなく、自ら受け入れるように、それを許容したのだった。
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