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言い伝えでは、こう言われている。
『世界が存続する危機に陥った
月が欠けぬ星空の下
光纏う舞姫が
人々の生命の力を強め
花纏う舞姫が
枯れた植物を再生し
対なる舞姫が
天の恵みを呼ぶ』
と。
四人の舞姫が踊らなければ、実際の救済にはならないのかもしれない。
私が、天の恵みを呼べるわけではなく、日照りが解消するわけではないから。
私は民の生命の力を強くすることしかできない。
日照りのせいで枯れてしまった作物を再生することだってできないし、雨を降らせる力だってない。
踊ることに意味があるのかは、わからないけど、この言い伝えに意味があるのなら、まず私が踊らなければいけない気がする。
だって、一番最初に書かれているのは、光纏う舞姫。そう──私のことだから。
これ以上、誰かに苦しんでほしくない。
『あの姿』は恥ずかしい。でも、明日なら、誰にも見られることはないから。
宝珠のヘアアクセサリーをつければ、私の意思とは関係なく、『あの姿』へ変わり、私は舞姫となる。
それで、救える命はありますか?
元気になってくれる人はいますか?
その答えを知るために、私は舞う。
それが私にとって恥ずかしいことでも、国を救うことができるなら、民が笑ってくれるのなら、私は迷わない。
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