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「どうした?ほら。」
執拗に手を伸ばし続けていると、猫は俺の手を俊敏にかいくぐり通りに飛び出した。結構な勢いだ。
あ、危ないぞ!
ぴょんぴょんと人々の足元を跳ねるように走る。通行人も驚いて歩みを止め、子猫を眺めている。
女子高生らしき集団が嬌声をあげる。
「ほら!ネコネコ……」
100mほど突っ走った茶色の毛玉は路地を曲がりあっという間に姿が見えなくなってしまった。
「おーい。待て待て」
俺は歩道いっぱいに広がった邪魔な女子高生集団を掻き分け、フラつく足取りで子猫を追いかける。俺も子猫に続き路地を曲がった。
そこで俺は立ちすくんだ。
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