第1章

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俺はしがないチンピラ、山師などと呼ばれている。借金取りに追われ、女の家を転々としている。 そんな俺の夢はちょこっと変わってる。一発当てること。これは普通だ。だが当てた金をパーと使い貯蓄などしない。貧乏に真っ逆さま。このアップダウンを楽しむこと。これが俺の夢だ。究極上り詰めたところで急転直下落ちて死にたい。とも思っている。 そんな俺は猫を追いかけて少女に会う。渓谷のようなビルの狭間に満月が舞い降りる路地。月光に輝く少女と猫。俺はこの光景に魅了され、少女を追い、しばしば会う。少女には俺の変わった夢を語る。理解して貰えるように思ったからだ。 少女はつかみどころなく、何を考えているのかわからない。一方、少女は俺の心情を見透かしている。少女が別の男と遊ぶ姿を見て、俺は別れを決意する。 そして30年の月日が流れる。俺は成功者となり、全ての物を手に入れる。しかし、何かが足りないと感じたまま、満月の差し込む路地へと足を運ぶ。そこで、少女と再会する。驚くべきことに少女は昔のままの姿で俺を待っていた。 俺たちは満月の下、寄り添うように抱き合う。俺は確信する。足りないと感じていたもの、それは喜び、哀しみを分かち合える存在。つまり少女だったのだと。俺は人生の頂点に上り詰める。 ところが、少女はヴァンパイアだった。俺の首に牙が突き立てられ、俺は死んでしまう。だが、それは俺が望んでいた夢の通り。少女は死にゆく俺に自分の生い立ちを語って聞かせる。少女は1000年の時を生きていた。少女の母はPEと呼ばれこれはpsychology Explorerだと不思議な事を言う。俺は満足して死ぬ。 語り手はここで猫へと変わる。猫は少女の哀しみに寄り添い、男の身勝手さに言及する。猫はこの物語が続くことも暗示する。やがて少女は元気を取り戻し、ヴァンパイアとして復活する。次に襲う獲物はこれを読んでいる貴方かも知れない!
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