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追っ手は鋭馬に「止まれ」とも言わず、なにが目的なのかも分からない。不気味な黒い車体が迫る。もっとも、「止まれ」といわれて止まるつもりはぜんぜんないのであるが。
しかしながら、このままではいずれは捕まってしまうと予感した。鋭馬は恐怖を覚えた。捕えられたらなにをされるかわからない。理由のわからぬ恐怖が鋭馬を突き動かした。
信号が赤でも突っ切った。横から来たピザの配達バイクにあやうく接触しそうになり、盛大にクラクションを鳴らされたが、かまってはいられなかった。朝っぱらからピザを食うやつなんて鋭馬には信じがたいが、いろんな種族がいるのでそんなやつもいるのだろう。
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