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鋭馬は路地に入りこんだ。減速をしなかったので、あやうくビルの壁面に衝突してしまうところだった。風化してひびの入ったコンクリートが目の前に迫ったかと思うと、後方へと流れ出す。破れかけた派手な政党ポスターが一瞬だけ目に入った。
夜通し働いていた鋭馬は、疲労のためクルマの安全な運転など望めなかった。というより、安全運転などしていたら、警察には捕まらないだろうが追っ手には捕まってしまう。
何度か入り組んだ路地を曲がった。大型車からの追跡なら、それで振り切れると考えた。
無我夢中で走り回った。通行人の脇をほんの数センチの間隔ですり抜ける。声の大きいバスーン人の悪態が後方に消えていった。
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