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そして鋭馬はバックミラーを見てホッとする。大型車は見えない。どうやらうまくまいたようである。
しかし安心はしなかった。自宅はすでに張り込まれているはずだ。戻れる安全な我が家はもうないのである。
どこか休めるところはないか――。
鋭馬は考えた。自宅以外に身を隠せるようなところがあったろうか。誰か、かくまってくれそうなやつは――。
友人と呼べるような連中はいたが、信用できるかといわれると首を傾げざるをえなかった。
カネさえつめば平気で親友であろうと仲間だろうと引き渡すようなやつばかりだった。だがそれは仕方がなかった。どいつもこいつも貧乏なのだ。
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