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試験が近いから勉強しなきゃいけないってのに、『どうしても会いたいから』と俺の家に訪れた香月さん。
そりゃ、俺だって会いたかったよ。
香月さんも仕事があるから毎日会える訳じゃないし。
でも試験は明日からなんだよ!
しかも試験一日目から苦手な教科だから、今日はガッツリ勉強するつもりだったのに。
「一志、ヒマ。構ってー」
部屋の真ん中に置かれたローテーブルの前で参考書とにらめっこしている俺に、香月さんが『構え』と絡んでくる。
「勉強するから相手出来ないって言ったのに、強引に来たのはアンタだろ」
「せっかく休みが合ったんだから、恋人に会いたいに決まってんだろ」
香月さんはいつも平日が休みになる事が多い。
今日はたまたま同僚と休みを交換して急に暇になったらしい。
俺だって明日から試験じゃなけりゃ……!
「そんなにヒマだったら勉強教えてよ」
「無理。高校の勉強なんてもう忘れたし」
「じゃ、邪魔すんなよ」
只でさえ勉強しなきゃいけないのに目の前に香月さんという誘惑があるんだ。
せめて大人しくしててもらわないと。
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