第1章

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30歳を目前にした29歳のOL田戸倉紗枝は、 毎日同じ電車に乗り、職場では20代前半の後輩たちが増え、 居心地が悪くなる中で、 仕事か結婚か自分のこれからの人生について 悩む年頃になっていた。 紗枝の友人達は、恋人がいたり、 その恋人と結婚を控えていたり、 また、結婚をして主婦になり、 可愛い子供も生まれ幸せな家庭を築いている友人達もいて、 “恋人もいない結婚なんていつのことやら…” なんて思いながら、 周りの友人達の幸せをうらやましく 思いながら生活を送っていた。 そんな時、会社帰りに友人と待ち合わせの前にふと立ち寄った占い師に、 「今年は恋愛運がいいですよ…年下の男性と出会いがありますよ…」 と言われ胸がキュンとして、心がワクワクしてくるのを感じ、 「恋愛なんて何年してないだろう…」と思いながら、 出会い運があると言われたことに幸せを感じていた。 そして、友人と待ち合わせのカフェに行き、 コーヒーを飲みながら、 心ウキウキしながら友人を待っていた。 その友人あゆみは、学生時代からの親友で、 唯一独身で彼氏なしの同じ状況なので気が合う人だった。 彼女は元気がありサバサバした性格で、結婚よりも仕事という感じのキャリアウーマンタイプだった。 「紗枝~お待たせ…」 「あゆみ~」 「ねぇ…なんかいいことあった?」 「なんで?」 「何か幸せそうな顔してる…」 「そう?なにもないけど…」 「ウソウソ…紗枝はすぐに顔に出るからわかるよ…白状しろ…」 あゆみが紗枝の腕をつかみながら言っていた。 「あはは…実はね、さっき時間があったから占いやってみたらね」 「ウンウン…それで…それで…」 あゆみが興味本位に聞いてくる。 「今年は恋愛運があるって言われた…」 「やったね~~~紗枝。。。」 あゆみは、紗枝の肩をポン!と叩いて笑っていた。 「うん!」 「その占いどこにあるの…私も行こうかしら…」 「すぐ近くだよ…あゆみも占いやってみる?」 「うん!やってみる。でも今日はお腹すいたからご飯食べに行くわ。」 「あはは。。あゆみらしいね。。」 そういいながら、紗枝とあゆみは、 カフェを出て近くの居酒屋に向かい歩いていった。
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