第1章

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「おいしいね。」 紗枝がいうと、 優はゆっくりと話してきた。 「拓也…他に女がいるみたいなの…」 「何でわかったの?」 「拓也と一緒にいるときに スマホの着信があって外に出て行った。 戻ってきたら“用事が出来た”と言って帰って行った。」 「それで、どうして女の人ってわかるの? 仕事かもしれないジャン。」 紗枝が言う。 「それから、拓也と会う時間が少なくなっていって…」 優は一点を見つめながら話していた。 「うんうん。」 紗枝は、その優の真剣なまなざしをみて、 食べるのをやめて話を聞いていた。 「そしてね。ある日拓也が他の女性と 歩いているのをみてしまったの…」 優の目からは涙がこぼれていた。 「優……」 紗枝は、優の手を握っていた。 「拓也…その女の人の隣りに歩きなが ら幸せそうに笑っていた…… あんな幸せそうな拓也の顔初めてみたわ。 私には見せてくれない顔だった・・・・」 優の目からは大粒の涙がこぼれてきた。 「拓也のこと愛していたのに…… これからもずっと拓也と一緒に居られる… 結婚して幸せな家庭を築けると思っていたのに・・・・」 「紗枝……私の何がいけなかったの… 人の心って変わっちゃうんだね……」 そう言って優は泣き崩れていた。 優の恋人拓也は、優より2つ年上の学生時代の先輩で、 大学の同じサークルで知り合い、 友人関係から交際するようになっていった。 拓也との交際は4年目になり 結婚をする予定になっていた。
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