第1章

7/49
前へ
/49ページ
次へ
「優……彼と話してみたの?」 紗枝が落ち着いた声で言う。 「うん・・・・」 「優?ちゃんと彼と話したの?」 紗枝は、優に彼への未練があるのを知って 優の手を強く握りながら言った。 「紗枝…拓也とはもう終りなのよ……」 優は、紗枝の手を握り返しながら泣いていた。 「優は、拓也さんとの結婚をあんなに喜んでいたのに…… 優が幸せになれないなんて…なんで…」 紗枝も、優の辛い気持ちを考えると 一緒になって泣いていた。 「紗枝…人の気持ちって、一生続くとは限らないんだね」 「そんなことないよ…結婚して夫婦になって 20年、30年、40年って一緒に生きている人たちだっている・・・・ 優と拓也さんは、歯車が合わなくなっちゃっただけ… 今ならまだ間に合うかもしれないよ・・・」 「紗枝…もう遅い…」 優はそういいながら遠くを見つめ 寂しそうな顔をしていた。 「優…私が拓也さんに話に行くよ・・・・っていうか、 優はどうしたい?拓也さんのこと好きなんでしょ? 別れたくないんでしょう?結婚したいんでしょう?」 「でも…もう終りだから…」 「たとえ終りになっても、 自分の気持ちは伝えなくちゃ… 後で後悔のないように、 ちゃんと話合おうよ。ね?優・・・」 「でも…私どうしたらよいかわからない・・・・」
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加