彼との始まり

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その日はいつもより30分早く目が覚めた。 カーテンの隙間から差し込む光をぼんやりと眺め、大きく瞬きをする。 「お休みの日なのに早起きしちゃった」 うんと背伸びをしてから起き上がりベッドにしばしお別れのキスをしてから部屋を出る。 いつものように洗濯機を回し、朝食を作る。 朝の30分はとても貴重な時間、ゆっくり余裕を持って朝の仕事を終わらせて食後のコーヒーなど飲む、これシフクノトキ。 結婚して三年になる夫は昨日から出張でいない。 コーヒーを飲みながら一人の時間をどう過ごそうか考える。 「何かいい事がありそうな気がする」 胸の奥のドキドキ、ソワソワが妙に大きくなる時があるけれどまさに今日がその日みたいだ。 「久しぶりに図書館でも行こうかな」 あの静寂な空間がとても好きだ。 エッセイ集でも借りてこよう、そう思い図書館の開館時間10分前に車に乗り込む。 秋晴れの清々しさが気持ちをもっとドキドキさせる。
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