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「……冗談じゃない!
何のために、僕が、
ここまで来たと思ってるんだ?!」
初めてだった。
先生の怒鳴り声を聞くのは。
「フザケないでくれ。
僕は、君を手放すつもりなんてない!」
言うが早いか、立ち上がった先生。
大きな一歩であたしに追い付き、
腕の中に閉じ込めた。
「……もう、いい。
君は何も考えるな」
押し付けられた唇は、熱かった。
激しくて、情熱的で。
魂が飲み込まれそうなキスだった。
「一旦、全て置いておきなさい。
それから何も考えずに、
僕の言葉に『うん』と言って」
返事すらする暇もなく、
次の口付けが与えられる。
苦しい。胸が苦しいよ。
「就活なんて、しなくて良い。
部屋も探さなくて良い。
何も心配しなくて良いから、
僕と一緒に島へ帰るんだ。
ほら。
……『うん』と、言って」
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