もう一度…

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「他の……  あぁ、そうか。  ……昨日、君が逃げたのは、  その誤解のせいだったのか」 暴れるあたしを、 いとも簡単に腕の中へ閉じ込める。 「僕の言った他の人は、  『君以外の人』ってことだよ。  『僕以外』って意味じゃない」 優しい囁きに、甘いキスを挟まれたら。 もう。 あたしは勝てっこない。 「……僕はね、  『久美ちゃん以外の人』と、  『結婚する』気はない。  そう、言ったつもりだったんだよ?」 「ホン、ト……に?」 何、それ。 全部、あたしの勘違いだったってこと? 「本当だ。  大体、君が逃げ出さなければ。  今頃もう……  プロポーズしてたはずだったのに」 予定が狂ったな、と先生は微笑む。 「言ったでしょう。  言葉が足りないせいで、  すれ違うのは、もう止めよう。  僕は、久美ちゃんを愛してる。  久美ちゃんも同じ気持ちでいてくれるなら。  『うん』と言って?  僕と、『家族になる』って」
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