裁判記録:僕は有罪(ギルティ)

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「羨ましい限りだな。若いってだけで私の笹木を、まんまとモノにできて」 「安田、課長……?」 (何でだよ? どうしてコイツが、笹木の相手なんだ!?) 「思ったより早かったですね。俺としては、これからだったのに」 「ふん、最後の悪あがきしにタイミングよく、邪魔ができて嬉しいがね」  僕たちの目の前までゆっくりとした足どりで近づき、腕を組んで見下ろしてくる。 「何だ、香坂。不思議そうな顔をして。私が笹木の相手じゃ、不服なのか?」 「だって……笹木の相手は女だと、思っていたから」 「女みたいなものだろ、コイツに抱かれていたんだから」  ――笹木が安田課長を抱いていた、だと!?  驚愕の事実に口をぱくぱくさせながら笹木の顔を見ると、可笑しそうに笑い出した。 「こう見えても、笹木は意外とモテるから。私なりに対策を考えてみたんだが、まんまと引っかかってくれるとはね。その顔が見られて、すごく嬉しいよ」  くすくす笑いながら寝室の方に歩いて行き、ベッドの引き出しを開ける。 「お前が何を考えているのか分からないが、笹木の浮気の証拠をしっかりと残してくれたお蔭で、早めに見切りがついてしまった」 「あ~あ。香坂先輩ってば、そんなモノを残していたんですか。論より証拠って感じですね」  下着の間に挟んでいたメモを、ひらひらさせながら言い放った。 (最悪だ……。よりによって、相手が安田課長なんて) 「えーっと私が笹木に抱かれて、その笹木を香坂が抱いてるということは結果、私も香坂に抱かれてしまっていることになるのか?」 「何でそんなに、難しく考えられるんですか。突っ込んでいるモノが違うでしょうよ」   「まぁ、通常考えたらそうだけどな。だがこの関係を考えたら、そういうふうになるかと思ったんだ」
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