裁判記録:僕は有罪(ギルティ)

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***  その後、僕はお代わりすることなく食事を終了した。  他のふたりはカレーを堪能すべく、しっかりお代わりをし、それなりに会話を楽しみながら食べ終えた。その様子がどう見ても、別れるふたりには到底思えない。  視線を目の前から逸らさず、そんなことをぼんやりと考えた。  ここに安田課長が来てから、ずっとふたりの様子を窺っていたが、修羅場と化しそうになったのは、一番最初に僕と目が合ったときだけ。  見たことがないくらいのゾクッとする冷たい眼差しに、全身が竦んでしまったけれど、それ以降はまったく顔色を変えず、僕や笹木と対峙していた。  こんな状態ならもっと揉めてもいいはずなのに、普通じゃないその感じは、違和感ありまくりだ。  視線を目の前から、テーブルの上に置かれたコーヒーカップに移す。コーヒーに映っている自分の顔は、不安満載にしか見えなかった。 (――なんて、情けないツラしてんだろう) 「さて、最終弁論でも聞いてやるか」  安田課長の声で、ゆっくりと顔を上げる。  僕が100%悪いのは、明らかな事実。下手な言い訳をしないように、慎重に口を開く。 「情状酌量くださいなんて言いません。笹木に手を出した、僕が悪いんですから」  最悪の事態で逃げられない――だからこそしっかりと向き合って、正々堂々としてやろうじゃないか。  奥歯をきゅっと噛みしめて、普段している顔を作ってやった。
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