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「ええ、大層仕事が捗りましたよ。何か御用ですか?」
「明日休みだしさ、一緒に呑まない?」
断れないようにふたたび顔を近づけて、目力を強めるようにじっと見つめてやる。
「別にいいですよ、暇ですし。てか先輩にその顔で迫られたら、断れる人がいないと思います」
「分ってて、わざとやってるんだけど?」
「誰かに似てますよね、えーっと……」
顎に手を当てて考え出す笹木に、ヒントを与えてやろうと思った。
「僕のハートをぎゅっと鷲掴み! 四ツ矢サイダー!!!」
ヤツのマネして爽やかに決めセリフを言い、ふわりと柔らかく微笑んでやる。
「すっげ!! そっくりです、目力にやられそう……」
「あはは、ウケてくれて何より。そんで笹木の家で宅呑みしたいんだけど、大丈夫か?」
「はぁ、多少散らかってますがいいですよ」
「酒は僕が奢るからさ。家で彼女の話を、たくさん聞かせてくれよ。彼女のできるコツとかさ」
上手いこと約束を取り付け、まんまと笹木の家に上がることに成功した。
夜は長い――これからが楽しみだ……。
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