第1章

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「や、こんにちは。えっと寿君と野瀬君? コヘ、いつまでアホ面晒してるんだよ。頭の中までアホになるぞ」 取り敢えず、挨拶。 で、2人の目の前にいるコヘの知り合いであると言うアピールをしてみる。 「ちょ、サク毒舌! 俺のプラスチックハートが変形するぞ!」 ガラスのハート、はよく聞くが、プラスチックハートって……しかも変形て…… 「ふくっ……」 「っ……」 あ、寿君が思わずって感じで吹き出した。野瀬君の方は少し眠たげな瞼がピクって、動いた気がする。 俺の後ろからやって来たコーが更に追い討ちをかけた。コヘにも、寿君にも。 「どんな風に変形するの? 罵られても喜びを感じるように?」 「ふぐっ……くくくっ……ふはっ」 「ちょ!コー!!お前もか。 ガラスのハートって言ったら、なんか壊れた後、修復不可能な程踏みにじられそうだったからな。 だからちょっと耐久性のあるプラスチックにしてみたんだよ」 「……なんであの一瞬に、そんなこと考えられたの?……ふっ、くく……」 おぉ、寿君がコヘに突っ込んだ! そして、あの笑い方は多分壺ってんな。笑い上戸なのかな? 「……波並、青生、山中、それぐらいに……してやってくれ。 ……リンの沸点、低いから」 あ、寿君が野瀬君の首筋に顔を埋めて、腕をグルリと回して肩あたりを抱きしめた。 いまだにプルプルと震えてる所を見ると、まぁ、笑いを堪えようとしているんだろう。 別に大声で笑ってもいいのに。 野瀬君はそんな寿君の側頭部を右手でやわやわと撫でている。 「サク、無言でデジカメ構えるのやめようか。どのアングルが最高かを探すのもやめて」 だって…だって!コーさん! 生BLですよ!ここで撮らなきゃ腐男子が廃るぞ! 状況は分かってるけど、分かってるけどさ! 喧嘩した後寿君が思わず泣き出して、 「ごめん…ごめん…許して、野瀬ちゃん…ごめんね…好きだよ…!」 「ったく、リン? そんなの、俺知ってるよ。 ……俺も悪かったよ。俺の方こそ許してくれ、な、リン?泣くな。 …………あぁホント、可愛いなリンは」 って言うのが容易に想像……妄想出来るんだ! うわ、ちょ、マジでこの2人どっちが攻で受? あぁぁあ! この腹の底から湧いてくるような、可愛いや愛しい、軽い興奮とかその辺に近い感情。 これを『萌え』と呼ばずして、なんと呼ぶ!?
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