第1章

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体格的には寿君が攻なんだけど、野瀬君とのやり取りを見てる限り(まだ少ししか見てないけどさ)、どうも寿君って、野瀬君の『忠犬』な感じがする。 今の状況だって飼い犬が飼い主に甘えてるようにも見えるし…… ご主人×忠犬……!! これは、これで……いいな! 下剋上大好きだけど、下剋上できない程どろっどろに甘やかす主とかも、割と好きだったりする。 「おーい、サク、そろそろ戻ってきて」 「んだよ、コヘ」 「野瀬君が何か言いたそうにしてるぞ?」 ん?……あ、ホントだ。こっち見てる。 めっちゃ見てる。寿君撫でながら視線が俺に突き刺さってる……! 「何でしょう……野瀬君」 「……写真、撮りたいなら、どうぞ。 ……但し……俺にも画像、頂戴」 意外だ。拒否されるのかと思ったんだが。でも、ま、萌を提供してくれるとあらばありがたく頂戴するまで! 「ありがとう!野瀬君!!」 チャイムが鳴って、休み時間が終了するまで撮影会(一方的に俺が野瀬君と寿君を撮ってただけだが)は続き、俺のデジカメには萌がデータとして収まっていた。 ちなみにラスト2分くらいになってようやく笑いが収まった寿君は、顎を野瀬君の頭に乗せたり、頬を寄せたりと、それが通常運転なのか、俺に対するサービスなのか分からないけど、俺はマジで鼻血が出て困った。 いや!精神的には困っちゃないんだけどな! いいぞ!もっとやれ!! 佐倉先生が配布物を大量に持って再び教卓の前に立つのを見ながら、 あ、馴れ初め聞くの忘れてた……と気づくのだが、その日2人に話を聞くチャンスは巡って来なかった……。 「あー『目的を忘れて脇道に逸れて、気づいたらもう引き返せないくらい遠くに来ちゃった人』の顔してる」 「何その的確な指摘……俺は心が痛いぜ、コーよ」 「心が異体……」 「コー、それは何か、コヘの変形してしまった後のプラスチックハートのことか?」 「俺のハートネタはもういいだろう……」 現在、俺とコーとコヘは食堂に来ている。 新学期1日目は、午前中で終わり。 寮に帰る前に昼食を食べようって訳だ。
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