869人が本棚に入れています
本棚に追加
/522ページ
柔らかな声がした方に首を向けると、白いワイシャツが眩しいイケメンが……
じゃない、某カードキャプ○-の眼鏡のお兄さんを黒髪にした感じのウエイターさんが両手に銀の盆を乗せ立っていた。
「あ!北山さん、それ、俺たちの注文したやつですよね。ありがとうございます」
俺の発言中、2本の腕がすっと引いていく感じがする。
頭ピンはやめてくれるみたいだ。助かった。
「はぁ……サクが妄想してないのって寧ろ食事中だけだよね?」
コー、そんなことはないぞ?
少なくとも……少なくとも……
あれ?俺この学園に来てから確かに萌に困ったことないよな……
「いえいえ、どういたしまして。
はい、波並君がAランチセット。青生君が和風パスタの大盛り」
にこりと目じりを下げて笑って、ウエイターの北山さんが料理を配る。
「……で、佐久彦君が『料理長の日替わりメニュー』」
はい!待ってました!
週に1回、しかも1日限定10食しかない『料理長の日替わりメニュー』!
妄想、云々は取り敢えず置いておこう。
「じゃぁ、ごゆっくりどうぞ。
…佐久彦君は放課後……いつも通りの時間においでって」
「!分かりました、ありがとうございます」
北山さんが去って行くのを見送ってから、俺たちは俺の注文したものに目を向けた。
「毎度、サクはチャレンジャーだよね」
「美味い飯があると分かってて挑まないお前の方が、俺は疑問だな」
「サク、早く開けなよ。俺のは冷製パスタだからいいけど、二人のは冷えるかもしれないよ?」
……それも、そうだな。
よしっ。
俺は『料理長の日替わりメニュー』が乗った銀盆を覆う、銀の蓋を持ち上げた……
最初のコメントを投稿しよう!