第1章

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柔らかな声がした方に首を向けると、白いワイシャツが眩しいイケメンが…… じゃない、某カードキャプ○-の眼鏡のお兄さんを黒髪にした感じのウエイターさんが両手に銀の盆を乗せ立っていた。 「あ!北山さん、それ、俺たちの注文したやつですよね。ありがとうございます」 俺の発言中、2本の腕がすっと引いていく感じがする。 頭ピンはやめてくれるみたいだ。助かった。 「はぁ……サクが妄想してないのって寧ろ食事中だけだよね?」 コー、そんなことはないぞ? 少なくとも……少なくとも…… あれ?俺この学園に来てから確かに萌に困ったことないよな…… 「いえいえ、どういたしまして。 はい、波並君がAランチセット。青生君が和風パスタの大盛り」 にこりと目じりを下げて笑って、ウエイターの北山さんが料理を配る。 「……で、佐久彦君が『料理長の日替わりメニュー』」 はい!待ってました! 週に1回、しかも1日限定10食しかない『料理長の日替わりメニュー』! 妄想、云々は取り敢えず置いておこう。 「じゃぁ、ごゆっくりどうぞ。 …佐久彦君は放課後……いつも通りの時間においでって」 「!分かりました、ありがとうございます」 北山さんが去って行くのを見送ってから、俺たちは俺の注文したものに目を向けた。 「毎度、サクはチャレンジャーだよね」 「美味い飯があると分かってて挑まないお前の方が、俺は疑問だな」 「サク、早く開けなよ。俺のは冷製パスタだからいいけど、二人のは冷えるかもしれないよ?」 ……それも、そうだな。 よしっ。 俺は『料理長の日替わりメニュー』が乗った銀盆を覆う、銀の蓋を持ち上げた……
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