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………………おぉ。
「モダン焼き、だな」
「モダン焼きだね」
コヘ、コーの言う通り、まごう事なきモダン焼きだ。
香ばしいソースと、鰹節の揺らめきが食欲をそそるぜ……ジュルリ……
さて、説明しようか。
『料理長の日替わりメニュー』とは、別名『料理長の気まぐれメニュー』なのである。
中身は運ばれて来るまで、明かされない。
完全に料理長の気分によって、作られる。
故に、料理人としてどうかとも思うが、食べる側が一切考慮されないことになる。
コヘは1年の時、5時限目が体育祭の練習であることを忘れて、これを注文し、『アサリのサッパリパスタ』が出てきた。
アサリに対する認識が変わる程美味しかったらしいが、直ぐに空腹になり困ったと言う。
コーは、練習していた演目の役柄が、貧乏で常に空腹を訴えている人物だった時に、豪勢にデザートまで付いたカツカレーを引いた。
その日の演技には、中々気分が乗らなかったらしい……。
ただ、物凄く美味しい料理であることは、120%保証される。
かと言って、他のメニューの味が劣るのかと言えば全くそんなことはない。
だから、安全に安心して自分の好きなモノを食うか、
ちょっとした冒険で、最上級の美食を食うか……
決断が遅すぎても、限定10食が無くなってしまうかもしれないと言う焦りが加わって、
『料理長の日替わりメニュー』がある日はメニュー選びが難しい。
とまぁ、こう悩むのは実は少数でもあるけどな。
お金持ちのお坊ちゃんたちは、『自分の気に食わないこと』に対する耐性が、ほとんど無い。
自分の食べたいモノ以外が出てくるなんて、論外。
とでも思ってるんだろうな。
そう言う生徒がこれを注文しているのを見たことがない。
コーは、金持ちと言えど割と庶民派の考えに近い。
曰く両親が金を掛けるのは、役者に関することばかりで、日常的には、一般家庭となんら変わりはなかった、と。
コヘは平凡な一般家庭からの、俺と同じく特待生だし言わずもがな、だ。
2人もたまに頼むが俺は毎回必ずだから、チャレンジャーと言われるんだ。
「まぁ、ソースの気分じゃないって時以外は、当たりじゃね?」
「うん、朝もモダン焼きだったって時以外は、当たりかもね」
被るなら普通、昨日の晩飯だろ……。
ま、何はともあれ、
「「「いただきます!」」」
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