第1章

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大人しくしておけば、コーと2人きりの会話に満足してくださる。 俺とコヘは1年の間で既にそれを学んでいる。 どれくらいの学習能力かと言うと、意図的に気配を消せるようになるぐらい、だ。 ……いや、マジで。下手に動けば俺たちだけに殺気を飛ばし、コーとの会話を遮ろうものなら視線だけで殺される。 心木先輩が、コーといるときに近づいてきたら、条件反射で息を潜める癖がついてしまい、今に至る。 「……青生様の担任の先生は佐倉先生ですか。 意外と頼りになる先生ですし、安心しました。 まぁ、青生様の生活を害する要素など、僕たちがみすみすと見過ごすはずがありませんが」 あれ、空気になってる間に何の話してるんだろ? 「……えっと、心先輩、無理はなさらないでくださいね? それと、佐倉先生を知ってるんですか?」 「えぇ、去年は僕たちの担任でしたから」 心木先輩は去年2年Aクラスだったから、連続Aクラスの担任かぁ。 Aクラスは大体勉強ができるやつ、の集まりだ。 別に自慢してるわけじゃないからな? スポーツ特待のような運動のできる奴は大抵CかD。 Bは御曹司の執事とか秘書とかになるような、なんてーの?こう、企業とはまた別だけど他分野で一級の奴が多い。 Sは『最高峰』。もう、これ以上何も言うまい。 で、Aはと言うと家柄もいいやつが多いが、〝超”一流と言うわけではない(一流の奴はいる)。 勉強はできる。 でも、それだけ。 そんな劣等感だけは、周り以上に持ち合わせてる。 俺みたいな、一般人からすれば、十分過ぎる環境にいる気がすんだけどな。 ま、お年頃な男子学生に『劣等感』。 この組み合わせが、金持ちだろうが一般人だろうが、宜しくないことは確かだ。 この学園で問題行動を起こすのは、Fクラス。 大問題を起こすのは、Aクラス。 なんて、料理長がチラッと言ってた。 (その時洗ってた皿を見ながら『1枚、2枚、3枚……』って呟いてたからな、一体食堂で何やらかしたんだ、過去Aクラス……) だから、連続Aクラス担任ってのは結構凄いことらしい。 ……へぇ、佐倉先生、まだ1日しか会ってないけど貴方の評価が右肩上がりです。 「それで、青生様、お聞きしたいことがあるんです」 あ、ようやく本題に入るっぽい。 俺の回想で、場繋ぎって、どうよ……
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