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「部員の一人の親が務めてる会社の、取引先の会社の、お偉いさんの子供が、この学園に転校して来るかもしれない、って話が出たんだ」
……………………………………What?
「てん、こう、せい……?」
「そ、転校生。お前が好物だとかいう、ね」
マジか。……マジかよ
「えぇ、急に頬を爪立ててつねったと思ったら、あまりの痛さに悶絶。
顔を抑えて転げまわるが、途中から『ふふ、うふふ、くふふふ』など奇妙な笑い声を出して、あり得ないくらいだらしないにやけ顔に。
ついには生まれてきたことを、全世界のありとあらゆる神々仏様に感謝し始める……………………うぅわぁ、気持ち悪」
心木先輩が説明キャラに!?
っじゃなくて!
「先輩!それ、マジですか!?」
転校生!まだ会ってもないけど君への期待がうなぎ上りだ!
「話が出てるってだけだ。
けど、お前のいつもの訳の分からない妄想の産物によると、
『王道転校生』ってのは等しく厄介者なんだろ?
もしそれが、青生様を傷つけるような存在だったら……
学園に来る前から対策して、地獄を用意しておかなきゃだろ?」
心木先輩、声のトーンを2つも3つも下げないでください。
転校生と言うワードで上がりかけた俺のテンションまで下げさせるって、ある意味すげぇよ……
「まぁ、確かに、まんま『王道』が来たら、大惨事でしょうけど。
あぁだから、情報屋、ですか」
そうだ、と頷く心木先輩。
確かに、王道転校生は魅力的だけど、俺自身も、ましてや親友たちが巻き込まれるなんて事態は避けたい。俺は離れたところでひっそりBLを見たいんだ。
「分かりました。俺もコーに気を付けるよう言っときます」
「あぁ、情報屋についても調べときたいところだけどな、部にそんな器用な子いないし、危険な目に合わせるわけにもいかない。
山中、お前はそのことを頭に留めておけ。
何か引っかかることがあったら、報告しろ」
「了解、心木部長」
かくして、嬉しくも不穏な転校生の知らせに、俺は若干の不安を抱えながら、心木先輩と寮に戻ったのだった。
あー、でも、本当は、多少巻き込まれたっていいから、最終的に俺抜きで(BL的な意味で)皆ハッピー、HAPPY ENDを迎えてくれないかな。って思ってた。
面白ければ、いいんだから。
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