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始業式の翌週の月曜日。
朝のHR開始まで後5分。俺は机に突っ伏していた。
「山中君、どうしたの?元気ないね」
話しかけているのは、なんと寿君。彼の席は廊下側から2列目、後ろから2番目。俺の席とは離れているが同じ後ろから2番目と言う、ある意味一直線上にいる訳で。
俺の様子が目に入り、声をかけてくれたらし……
「野瀬ちゃんと喋ってたんだけどさ、野瀬ちゃん今眠いらしくて、1人で暇なんだよねー」
ただの暇つぶし要員だった……
野瀬君が今どういう状態でいるのか分からないけど、俺だって机に突っ伏しているんだから、眠そうだとは思わなかったのか?
「別に、元気がないって訳じゃないんだ」
まぁ、そして眠くもない。
「でも、明らかにテンション低いよね?
いつもなら、俺と野瀬ちゃんの絡みを、飽きもせずに眺めてるくせに」
結局、寿君と野瀬君の馴れ初めは『幼馴染』の一言に尽きた。
詳しい話を聞こうにも、主に寿君が明らかに話をはぐらかそうとしたから、まぁ聞かれたくないことでもあるんだろう、と言うことで俺からもそれ以上は追及しなかった。
2人の過去に何かあったのか。
もし、それを知ったらさらに妄想が膨らむかもしれないが、今、俺の知りうる限りで、この2人が幸せそうに寄り添ってるんなら、俺が口を出すべきところではないし、何より現状だけでも2人からは、十分すぎる萌を提供してもらっている。
初日に撮った写真は、野瀬君のスマホに送信済み。
「リン、可愛い……ありがと……待ち受けに、する」
とのことだ。
いつも眠そうで、それ以外の表情を浮かべない野瀬君が、一瞬、画像を見て微笑んだんだが……あれは、萌死ぬかと思った。
ホント、あの2人の相思相愛ぶりが、美味い。
白米が3杯いける。
「うん、ホント寿君たち目の保養。もっとやってくれ」
「オッケー、お安い御用だ。
じゃなくて、元気がない訳じゃないなら、どうしてテンション低いの?」
聞きたい?
本当に、聞きたい?
「え、何?そのちょっと期待の混じった、それでいて『でも、どうせお前もなんだろ?』って言う諦めの目は」
考えてもみてくれよ、わざわざ寿君の目に止まるほど気落ちしてる俺に、いつもつるんでるコーやコヘが何のアクションも見せない訳を。
いや、別に親友がいつ何時でも傍にいて、心配してくれるような、都合のいい存在だと思っているわけではない、決して。
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